現在の日本で、自分の歯並びを気にしているという人の割合は、8割以上と言われています。
しかし、その多くは「見た目にコンプレックスを感じている」というもの。
もちろん、見た目が気になるというのも大きな悩みです。
誰だってキレイに並んだ歯には魅力を感じるものですから。
ただ、「歯並びが悪いこと」で起こり得るリスクは、見た目の問題だけではありません。
そもそも、歯並びが悪いことがどうしていけないのか、ご存じでしょうか?
歯並びが悪いことで体にもいろいろな問題が生じるかもしれないと、考えたことはありますか?
虫歯や歯周病がないからと言って、歯並びが悪いことを放置していませんか?
今回は、歯並びが悪いことの原因やリスク、改善方法についてお話をしていきます。
まずは「歯並びが悪い」ことがどういう状態なのかを説明します。
ガタガタ?出っ歯?受け口?歯並びが悪いってどういう状態?
「歯並びが悪い」と一言でいっても、人によってタイプはさまざまです。
しかし、自分のタイプがどういうものであるかを考えたことがある方は、少ないのではないでしょうか。
自分がどういう症例なのかを知るのは、その後の治療を選択するために必要なことです。
では、どういったタイプがあるのか、いくつか例を挙げていきます。
まず、日本人に最も多いとされるのが「叢生(そうせい)」という症例です。
これは歯がガタガタに生えている状態を指します。
それから「上顎前突」という症例、いわゆる出っ歯のことですが、これも日本人に多い症例の一つです。
上顎前突と似たものに、上顎と下顎の両方が前に突き出ている「口ゴボ」(上下顎前突)という状態もあります。
また、見た目が気になりやすい症例で言うと、歯と歯の間に隙間があいている「すきっ歯」(空隙歯列)や、前歯が閉じない「開咬」(オープンバイトとも言います。)が挙げられるでしょう。
それから、特に子どもに多いのが、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態の「受け口(反対咬合)」です。
いずれも、矯正を用いる治療や、日々の生活習慣の見直しを行うことが必要とされます。
すきっ歯や上下のバランスが崩れている…歯並びが悪くなる原因
歯並びが悪いと言われる状態について、いくつか挙げていきましたが、ご自身のお口に当てはまるものはありましたか?
「自分がどのタイプかは分かった、だけど、どうしてそうなってしまったか分からない…」
そう思われた方もいらっしゃるでしょう。
確かに、自分がどういう症例なのかを理解しても、その原因が分からないことには対策のしようがありません。
先ほど挙げた症例の中には、遺伝的な要因が大きく絡んでいるケースがあります。
つまり「生まれつき歯並びが悪くなってしまう要素」を含んでいるという場合です。
しかし、必ずしも「すべてが遺伝のせい」というわけではありません。
後天的な要因によって、歯並びを悪化させてしてしまっている場合も大いにあるのです。
次はその「歯並びが悪くなってしまう原因」について考えてみましょう。
遺伝要素の一つ。あごのスペースが足りないなど成長不足のケース
歯が正しくキレイに並ぶためには、お口の中にその分のスぺースが必要です。
そのスぺースが確保できていないと、叢生などの症状が起きやすく、お口全体のバランスが乱れてしまいます。
そしてスぺースが確保できない原因として挙げられるのが、顎の形や大きさです。
歯並びが悪くなるのには遺伝的な要素がある、と先ほどお話しましたが、この遺伝的な要素の一つが顎のスペース不足なのです。
生まれつき顎が小さい場合、もしくは顎に対して歯のサイズが大きすぎるという場合もあるでしょう。
そういった要素からお口に必要なスぺースがなく、歯が重なったりズレたところから生えてしまったりするのです。
ただし遺伝は一つの要因にすぎません。
食生活や普段の生活の習慣によって顎が成長不足に陥り、状態を悪化させてしまっていることも考えられます。
必要なのは意識改善!関節のズレや骨格への負担となる「頬杖」
生活習慣という点において、多くの方が陥っている問題があります。
それが「頬杖」です。
頬杖と歯並びにどんな関係があるの?そう思う方もいらっしゃるでしょう。
実は頬杖をついている状態というのは、顎やお口に大きな力を加えているのです。
余分な力を加え続けていると、顎には次第に歪みが生じてきます。
顎の変形は、そのままお口に影響します。
それによって噛み合わせのバランスが崩れ、歯並びが悪くなってしまうのです。
歯磨きも大事だけれど、食べ方を改善することがもっと大切
歯と食べ物の関係性を考えた時、多くの方は虫歯にならないように歯磨きをしっかりすることを意識すると思います。
それはもちろん正しいことで、歯の健康を維持するために日々のケアは欠かせません。
しかし、歯並びや噛み合わせについて考える場合には、もう一つ忘れてはならないポイントがあります。
それは「噛み方」です。
例えば、右の歯ばかりで噛んでいる、同じ部分ばかりで固いものを噛むなど、食べ方(噛み方)に癖があると、顔の歪みの原因になります。
また、特定の歯だけに負担がかかる状態は、噛み合わせにも大きな影響が出るのです。
左右バランスよく噛むこと、噛む力を分散させることを意識しながら食べるようにしましょう。
子どもの指しゃぶりや大人の口呼吸と歯並びの関係
子どものお口周りの習癖が将来的な歯並びに影響するということは、ご存じの方も多いでしょう。
だからこそ、おしゃぶりを外すタイミングや指しゃぶりをやめさせるタイミングが注目されています。
目に見える子どもの習癖は改善もしやすいのですが、見えない癖になるとそうもいきません。
例えば、口呼吸がその一つです。
口呼吸が癖になっていると、お口がポカンと開いている状態になります。
お口が閉じられないことで歯を正常な位置に留める力が衰え、歯並びが悪くなってしまうのです。
また、お口周りの筋肉が全体的に弱くなっていくと、顔貌の変化など大きなリスクにもつながります。
呼吸の癖は無意識であることが多いため、意識して改善するようにしましょう。
見た目だけじゃない!歯並びが悪いまま放置すると起こり得る5つのリスク
とはいえ、「前歯なら気になるけど、奥歯の噛み合わせは外から見えないし大丈夫」と、
見た目にあまり影響がない箇所は気にならないという方もいます。
歯並びが「見た目」だけの問題ならば、それでもいいかもしれません。
しかし、歯並びが悪い状態というのは、見た目のコンプレックス以上に大きなリスクを含んでいるということを知っておいていただきたいのです。
ここでは、歯並びが悪い状態を放置することで考えられるリスクについて、5つピックアップしてみました。
奥歯が上手く使えないことで食べ物を噛む能力が低下
歯並びがガタガタだったり奥歯がきちんと噛み合っていなかったりという状態は、咀嚼に支障をきたします。
食べ物を噛むという能力が低下すると、胃腸へも負担がかかってしまいます。
また、噛むこということは唾液の分泌にもつながる行為。
それが上手くできなくなると唾液が少なくなり、お口の環境が崩れるリスクも高まってしまいます。
前歯の位置が噛み合わないことで滑舌が悪くなる「発音障害」
前歯がズレていたり歯と歯の間に隙間があったりすると、発音がしにくくなります。
前歯が、乳歯から永久歯に生え変わったときのことを思い出してみてください。
歯がない状態では、息が漏れてしまってしっかり発音ができないですよね。
また、歯並びがガタガタだと舌もうまく動かせません。
その結果、舌ったらずな話し方になるなど、不便さを感じることがあるでしょう。
口腔内の習慣や筋肉の使い方が要因となる肩こり・頭痛
お口周りの習癖や歯並びの悪さは、顎関節周りの筋肉に影響を与えます。
筋肉に過度な力がかかっている状態は、血行不良のリスクにつながります。
それはお口や顎だけにとどまらず、次第に首や肩など全身の筋肉に広がっていくでしょう。
そうすると、慢性的な肩こりや頭痛といった問題が生まれてきます。
顎関節症をはじめとする全身の健康リスクとその種類
歯並びの悪さが原因となって生まれる全身の不調は、肩こりや頭痛だけではありません。
先にも少し触れましたが、噛む機能が衰えることによる胃腸への負担も大きなリスクです。
また、正しく噛めないことによって顎に大きな負担が生じると、顎関節症という問題も出てきます。
顎関節症は顎がカクカクする、噛むと痛みを感じる、お口が開けられなくなるなど、さまざまな支障をきたします。
矯正治療では治らない!隙間からの虫歯・歯周病など、全体へ影響
歯並びの悪さは、もちろんお口全体にとっても良い状態ではありません。
「今は虫歯や歯周病がないから大丈夫!」と思っていても、知らず知らずのうちにお口の健康は損なわれていくのです。
例えば、歯と歯の間に隙間があると、そこから虫歯になりやすくなります。
それに、ブラッシングがしづらいことで歯周病のリスクも高まってしまいます。
さらに、お口がしっかり閉じないことや唾液がきちんと分泌されないことで口内乾燥(ドライマウス)という症状が起こるかもしれません。ドライマウスは口臭や歯周病を誘発します。
それらの問題は、歯並びを改善する矯正治療をもってしても完治させることはできません。
だからこそお口が健康なうちに、歯並びを整えてあげることが重要なのです。
自分の歯並びは歯科医院で相談すべきか、セルフチェックする方法をパート2でお伝えしています。お悩みの方は参考にしてみてはいかがでしょうか。